皆様、こんにちは。まつむら歯科クリニック院長の松村賢です。
2月も終盤を迎え、少しずつ日中に暖かく感じる時間が増えてきました。今年はここ数年で一番雪かきを行っているように感じます。やっと雪かきのゴールが見えてきて、胸をなでおろしています。
さて、春先になると、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の症状に悩まされる方が多いですね。私の保育園に通う娘も、すでに呼吸がつらそうな時があります。
実は花粉症が原因で「お口の中のトラブル」が増える事をご存じですか?花粉症とお口の中の健康は一見無関係に思えますが、実は深い関係があります。
花粉症がお口の中に及ぼす影響として、まず口呼吸による乾燥が挙げられます。
花粉症の症状として「鼻づまり」により鼻が詰まると無意識のうちに口呼吸になり、口の中が乾燥しやすくなります。唾液には自浄作用や抗菌作用があり、お口の中を清潔に保つ役割がありますが、口が乾くことで細菌が繁殖しやすくなり、口臭の悪化、虫歯や歯周病のリスク増加、舌やお口の粘膜が荒れやすいといったトラブルを引き起こします。
次に免疫反応によるお口の中の炎症の広がりが挙げられます(少し難しいですね、、、)。
花粉症はアレルギー反応の一種であり、体が異物(花粉)に過敏に反応することで症状が出ます。その影響でお口の中の粘膜も刺激され、口内炎ができやすくなったり、舌がピリピリとしみることがあります。
さらに抗ヒスタミン薬による副作用が挙げられます。
花粉症の治療薬としてよく処方される抗ヒスタミン薬は、第1世代と第2世代に分類され、特に第1世代抗ヒスタミン薬の副作用として「口の渇き」を引き起こすことがあります。これにより、先述のお口中の乾燥がさらに悪化し、口臭や虫歯のリスクが高まることもあります。第1世代抗ヒスタミン薬としてポララミン(クロルフェニラミン製剤)、レスタミン(ジフェンヒドラミン塩酸塩)などがあります。第2世代抗ヒスタミン薬として、ビラノア、デザレックス、ルパフィン、フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)などが含まれます。花粉症の薬として、ご自分が服用している薬があれば、ご確認されてみる事をお勧めします。
ここで、花粉症によるお口の中のトラブルの対策をいくつかご紹介します。
まずは、こまめに水分補給をしましょう。
お口の中の乾燥を防ぐために、こまめに水やお茶を飲みましょう。特に常温の水やカフェインを含まない飲み物がお勧めです。
次に口を閉じて鼻呼吸を意識してみましょう。
鼻づまりがあるととても難しいですが、意識的に鼻呼吸をすることでお口の中の乾燥を防ぐことができます。鼻づまりがひどい場合は、鼻洗浄や温めたタオルを鼻に当てることで鼻の通りを良くするのも効果的です。私はよく鼻洗浄を行います。少し痛みを我慢した後のすっきり感がたまらなく好きだからです。
次に唾液の分泌を促す事を試みましょう。
キシリトール入りガムを噛む事、レモンや梅干しなどの酸っぱいものを食べる事、食前にうま味成分を多く含むだし汁を飲む事、唾液腺マッサージを行う事などを試してみて下さい。
さらに口腔ケアを徹底しましょう。
歯磨きやデンタルフロス、歯間ブラシを丁寧に行い、アルコールフリーのマウスウォッシュを使用します。忘れがちな舌苔(舌の汚れ)を優しく取り除きましょう。
最後に症状がひどい場合は、やはり耳鼻科等の医師より花粉症の治療を受けましょう。
医師の指導のもと適切な薬を選ぶことが大切です。最近では舌下免疫療法などのアレルゲン免疫療法で根本治療を目指す事も治療方法が確立されているそうです。
花粉症は鼻や目だけでなく、お口の中の健康にも影響を及ぼします。特に口呼吸や薬の副作用による口の乾燥は、虫歯や口臭の原因になりやすいため、しっかり対策をとることが重要です。適切な水分補給や口腔ケアを意識し、快適に春を乗り越えましょう。
では、皆様の「いつまでもおいしく食べる」をお手伝いするために来月も頑張って投稿します。